第2回 市役所のみなさんに伝えたい デザイン活用&相談会 レポート

開催概要

  • 開催日 2021年7月14日(水)
  • 会 場 新潟市役所本館6F執行部控室

対象:文化政策課職員ほか

相談件数:9件

参加者数:会場18名、オンライン10名

新潟市役所で『デザイン1000本ノック』

 初めまして。ヒッコリースリートラベラーズ でインターンシップをしている大学4回生の森と言います。本日はNEWGATEが開催する新潟市役所役員を対象としたデザインの相談会に参加しました。デザイナーが自ら出向き、市役所内で困っている人の相談会をする、という取り組みはあまり聞いたことがなく、どのような感じになるのかとても楽しみです。
 今回相談される市役所の人は全部で9組で、相談時間は2時間〜2時間半ほど。会場には18名の参加者がいて、相談者以外にも聴講する人が半分くらいいました。あとはオンラインでの参加者もいて、比較的若い人が多い印象です。

 最初にデザイナーの3名が自己紹介をします。その後、その中のひとり、高橋トオルさんからデザインとは何かのレクチャーが3分ほど行われました。身近な例を用いた、面白くわかりやすい説明は、一瞬で市役所の方の心を掴んでいました。

 相談内容は、チラシのレイアウトの相談から、予算がなくどうしたらいいかわからない、などの相談まで幅広いものでした。それぞれの職員に対して、3人それぞれの視点からアドバイスを行なっていきます。1組約10分という短い時間の中で、何が問題であるかを指摘し、アドバイスや提案をその場で行う様子は、まるで『デザイン1000本ノック』。デザイナー3名の頭の回転の早さと、それをわかりやすく伝える様子はさすがだと感じました。

 今回は全体を通して「どのようにして市民の方へわかりやすく伝えるか」という内容が多かったように感じます。その中でも共通して「自分事化」というキーワードがアドバイスの中で多く出てきました。行政が行なっていることは、私も含めて他人事に思ってしまうことが多いです。しかし詳しく話を伺うと、自分の生活と関連が深い取り組みは意外と多いです。そこで、様々な取り組みを知ってもらうための入り口として、情報の伝え方、つまり「デザイン」が大切になってくる思います。最初のレクチャーで高橋さんから「デザインとは設計である」というお話がありましたが、まさに情報を伝えたいターゲットに伝えるための設計をきちんと行う必要性を感じました。

 市役所の方も、熱心にメモ取りながら聞いており、外からの視点が入ることで様々なアイデアが浮かんできている様子でした。何より、終わった後に同じ部署の方ともっとこうしようか、という声が聞こえるなど、会場の雰囲気が明るくなった様子がとても印象的でした。

 デザイン相談会に参加してみて、定期的に行うことで、市役所の方にも、デザイナーにも相互にいい影響があるイベントであると思いました。ただ、もっと時間をとってお互いに意見をやりとりすることができるとより効果的になるのではないか、とも感じました。相談の段階が様々であったので、悩んでいる段階ごとに相談形式を変えるなどもいいかもしれません。表面的なデザインの改善だけでなく、デザインを活用した視点を広げる場として、これからも開催されていき、市役所の方の思いが多くの人により届くといいなと思います。

主催:NEWGATE 共催:新潟市

『 私とデザイン 』NEWGATEデザイン公開相談会&個別相談会 2021年2月 レポート

開催概要

  • 開催日 2021年2月15日(月)
  • 会場 新潟ユニゾンプラザ 5F中研修室

①公開相談会
・対象 すべての業種、団体
・時間 10:00~11:30
・参加費 お一人1,000円(お友達や社員さんをお連れの場合は2人目から 500円)

相談 1件(参加人数 9名)

②公開相談会
・対象 福祉関連事業者
・時間 13:00~14:30
・参加費 無料

相談 3件(参加人数 6名)

③個別相談会
・対象 福祉関連事業者
・時間 14:45~15:45
・参加費 無料

相談 2件

①公開相談会

会社や事業のPRのために行っている手書き新聞や新しい広報ツールに関するご相談でした。

いつものようにまずは、自社のどの部分をPRするのか、「目的」は何なのか?という問いかけから始まります。

企業や大きな組織など、年度が始まる時点で「〇〇を作る費用」として予算が組まれることが多く、いざ制作する段階になった時に、「その目的なら別の媒体やツールの方が合っているような、、、」と思うことや、他のことに時間が割けるはずなのに、予算があるから作らなければならない、といったこともよく発生します。

なかなか仕組みを変えることは難しいかもしれませんが、デザインの視点を取り入れて効果を発揮するためには、こうした意識を変えていきましょうとNEWGATEではお伝えしています。

また、「費用をかけられないので社内でなんとかしなければなりません」という声もよくお聞きします。
その場合には、お客様を巻き込んでコンテスト形式にすれば一つのキャンペーンにもなりますし、学生さんと協働するという方法もあるかと思います。

具体的な人物像をイメージして、「何をしているどんな人」に「どう感じてほしい」のか。今一度深堀りすることで、後々判断に迷ったときにも確かな軸になってくれるはずです。

②公開相談会(福祉関連事業者対象)

チラシを作ってポスティングで配布したい、というご相談です。

「デザインの経験が無く自信が無いので見て欲しい」とのことでしたが、既にチラシは伝えたい内容、基本情報がまとめられていてわかりやすい紙面でした。

さらに良くするためのアドバイスとして
・使っている言葉が業界用語のような印象を受けるので噛み砕いてわかりやすい言葉に
・文字よりも早く伝わるイラストを使う(特に感情を表現したい場合)
・チラシだけでなくQRコードでジャンプした先のページも情報を充実させる
・見て欲しい対象となる「ご本人向け」と「ご家族向け」の2パターン作っては

という声があがりました。

こちらの相談者さんの参考になる点としては、「なぜポスティングか」という点が明確だったことと、配布のエリアも目的をきちんと定めたうえで設定されていたこと。
より具体的な目的とターゲットの設定があることで、ツールや方法も変わってきますし、効果も出やすくなると実感しています。

③個別相談会(福祉関連事業者対象)

地元産の素材を活用した製品づくりについてのご相談でした。

全く新しい商品というのはほぼありませんので、おそらく大抵の場合、既に競争相手となる商品があると思います。なのでまずは他の商品を知ること、他の商品の広報はどのようになされているのかを知ること、そこから始まります。

<迫>
機能が伴う商品については、きちんと検証・数値化してお客さまにとってわかりやすくメリットを感じてもらいやすい伝え方を考えたほうが効果的ですね。

<高橋(ツムジグラフィカ)>
商品を開発する段階から、お客さまとコミュニケーションをとって、ファンになっていただく、というのも一つの方法です。丁寧なものづくりこそ、背景を伝えることは大きな強みです。

<髙橋(ハシゴデザイン)>
毎日使うものというのは、「安さ」よりも「確かな機能やしっかり作られている」ほうが良い。丁寧に作られているものを「正しい価格で買ってもらえる」方法を考えてみては。

アドバイザー

今回はNEWGATE所属の3名に加え、ハシゴデザインの髙橋さんにも特別にご参加いただきました。

髙橋 栄一(たかはし えいいち)
ハシゴデザイン 代表
新潟市生まれ。グラフィックデザイナー。「かべがあったらはしごをどうぞ」というキャッチコピーのもと、壁(課題)を乗り越えられると信じることができるまで、ていねいに試行錯誤したデザインをご提供することをモットーとしています。企業・店舗のV.Iなど、全体のブランドイメージを形成するデザインや、パッケージ、パンフレットなどのツール制作まで、幅広く活動中。

主催:NEWGATE、新潟県社会福祉協議会(②③)

助成:アーツカウンシル新潟((公財)新潟市芸術文化振興財団)「文化芸術基盤整備促進支援事業」

市役所のみなさんに伝えたい デザイン活用&相談会 レポート

開催概要

  • 開催日 2020年11月30日(月)
  • 時間 15:30~17:00
  • 会場 新潟市役所本館6F執行部控室
  • 参加人数 11人  (公開相談は5件)

今回はこれまでのような広くご相談を募るのではなく、市役所の職員の方へ向けた相談会を開催しました。初めての試みだったため、募集するにあたっては「相談が来るのだろうか、、」と少し心配していましたが、当日は5件の相談がありました。予想以上にご相談いただいたため、1件あたりが10分少々と短かくなってしまい、「もう少しじっくりアドバイスの時間が欲しかった」とのお声もいただきました。次回に向けてまた改善していきたいと思います。

冒頭に、アドバイザー3名からそれぞれ自己紹介とデザイン活用についてお話をしました。普段ご依頼を受けてお客さま(発注者)とやりとりをする中で感じていることや、デザイナーがやっていることはそもそもどんな作業なのか、よくある問題点など、「受発注」の関係のなかではあまりお話する機会が無いような内容が出てくるのもこのNEWGATEの特徴のひとつです。

その後5件のご相談に対してアドバイスをさせていただきました。多くは、市民が申請や手続きの際に使用する「用紙」について。フォームが分かりにくかったり内容が複雑なために記入漏れやチェックに時間がかかってしまうというものでした。

限られたツールと時間の中ですぐに実践できそうな方法と1枚の紙にまとめるときのポイントについてのアドバイスがありました。
そして後日、相談者のお一人からアドバイスを受けて修正したとのご報告をいただきました!とてもわかりやすくなっていましたし、なによりこうしてご報告いただけたことがとても嬉しい限りです。

また、全般的な「資料や企画書を作るときのポイント」のご相談もありました。

「誰が困っていて、誰のためのものなのか」

今回のポイントだったような気がします。多くの市民に関わる業務をされている中ではなかなか難しい点だと感じながら、デザインの発注側・受注側どちらでもなく「手に取る人」「使う人」にとってどうか、が重要だとあらためて気づかされた相談会となりました。

主催:NEWGATE

共催:新潟市文化創造推進課

助成:アーツカウンシル新潟((公財)新潟市芸術文化振興財団)「文化芸術基盤整備促進支援事業」

展示会×デザインで顧客獲得!~商品の魅力を最大限に伝えるためには~ レポート

展示会×デザインで顧客獲得!~商品の魅力を最大限に伝えるためには~

開催概要

  • 開催日 2020年9月24日(木)
  • 時間 14:00~16:00
  • 会場 新潟商工会議所 大会議室 (新潟市中央区万代島5-1 万代島ビル7階)
  • 参加費 無料
  • 募集人数 13人  (公開相談は3件)

今回はフードメッセの出展者の事業者さまが多く、これから新商品を営業・販売していこうという方が多く集まりました。

まず最初にお米農家さんによるご相談でした。ネーミングについて迷っているという点では

・地元の方に食べてもらいたいのなら 認知度がある、親しまれている農家さんご自身のお名前を
・遠方の人に買ってもらうにはインパクトのある、お米には珍しいワードを使った方がいいのでは
という意見がありました。

また、たくさん思いの詰まった商品だからこそよくあるのが「結局何を言いたいのか伝わらない」「生産者が伝えたい情報と買う人が求めている情報がマッチしていない」こと。
一番伝えたいことを絞りつつ、買う人が求めているのは何かを同時に考える必要があります。わからないときや、その情報をどう形にするのかについてはデザイナーに相談してみることをおすすめします。

次の加工水産物のご相談では、
・こだわりのポイントをネーミングに落とし込んでみること
・商品にストーリーがあるのはお店やメディアで取り上げやすい
という意見があがりました。

最後は、昨年の初回のご相談から何度も来ていただいているレストラン「ティオペペ」さん。このコロナ禍で飲食店の経営が厳しい中、テイクアウトやお家で作れるキットに力を入れて精力的に取り組まれています。
デザイナーだけではなく、食やマーケティングの専門家にも相談しながら売り始めたキット。その進捗と相談にお越しいただきました。
3名のデザイナーはもちろん、前述の相談にこられた他の事業者さんからもアドバイスがあり、公開相談会らしい場面がみられました!

デザインは「1発でOK!」なものというよりも、回数を重ねること、実験し続けることが大切です。
今回のように小規模な事業者さんであればますます、初期投資をかけずにまず実験してみるのが良いのではないでしょうか。たくさんの手段がきっとあります。お悩みの方、ぜひ次回ご相談ください。

デザイン思考で新たな視点 「公開デザイン相談会」付き・特別オンラインセミナー レポート

開催概要

  • 開催日 2020年06月10日(水)
  • 時間 19:00~20:30
  • 会場 PCやスマートフォンによるオンラインでの参加 ※自宅などから参加可能
  • 参加費 無料
  • 募集人数 20人

前半はセミナー形式でデザイナー3名から「デザイン思考とはなにか」についての話を、後半は1件の相談にお答えしました。

デザイン思考とは

<迫>
なにかを作る、考えるときにデザインを取り入れると、具体化・形にしていく段階でイメージの擦り合わせをすることができます。

中小企業の場合は特に、ビジネスモデルの相談 の段階でデザイナーを活用してほしいと思っています。商品開発時点でご相談を受けると、なぜこうなったのかがわからないことがよくあります。早い段階でデザイナーを活用することをおすすめします。

例えば、この商品は
・新しい働き手が働きたくなるような会社にするため なのか
・とにかくたくさん売れるようにするため なのか
・会社の知名度をあげるため なのか
、、、どういった目的があって作っているのか?

<高橋>
相談の段階が早いほど効果が大きくなると思っています。
よくチラシの相談を受けることが多いのですが、「それってチラシなのかな?」という事例はたくさんあります。

デザイン思考というのは かわいい、気分が上がるものを作るということではなく、「スタイリング=計画に携わる、何をするのかを考える」その計画の部分だと思っています。

デザインにできることは、「理解するのに10分かかったのが3分でできる」「伝わる対象者が増える」、つまり世の中がより楽になるとも言えると思います。

<山下>
デザインをご依頼いただくと「〇〇を作ってください」と言われることが多いのですが、お話を進めていくと「実は会社のブランディングがしたい」ということがわかってくるのですが、方向性が決まってないということが多いです。結局なにか形にする段階はだいぶ後であることが多いように思います。

ご相談

【コロナ禍で予定していたイベントが開催できなくなりました。「集まる」ということが大きな目的の一つだったのでどのような形なら開催できるか悩んでいます。】

デザイナーからはそれぞれ、もう一度「集まる」ということについて考えてみましょうということから始まり、今のところ挙がっているアイディアについて例を出しながら提案をしました。

<高橋>
集まる(手段)ことで何を達成(目的)したいのか?を考えてみては

<迫>
・「集まる」が「同じ時間の集まり」となっているところを→「一定の期間で集まる」という風に考えてみると違う形が思いつきそう
・どのあたりにおもしろさがあるのか「おもしろい」を今一度考えてみる

<山下>
・「コミュニケーションする」とはなにか?を考えてみる
会う・話す以外にも、交換日記をしあう や 文字、イラスト でコミュニケーションをとることも可能では

参加された皆さんのご感想(一部)

・デザイナーとの関わりはそれなりにあるが、(コミュニケーションの点で)もう一歩踏み込めていない。現在売っているモノとウェブの雰囲気があっていないような気がしていているので改善できると良いなと思った。
・かっこいいもの=デザインではないんだなと思った
デザイン「思考」の部分を勉強して活かしていきたい
・デザイン思考はロジカルだなと思った
否定することなく笑顔で話し合っている やり方が勉強になりました

このような状況ではありますが、今年度もできるだけ定期的に開催していきたいと思いますので、皆さまのご参加お待ちしております!

『デザインの話を聞こう-対話と実験―』ゲスト:UMA/design farm代表 原田祐馬 レポート

開催概要

●日時:2020年2月12日(水) 17:30~19:00

●会場:ほんぽーと(新潟市立中央図書館 )多目的ホール
新潟市中央区明石2丁目1−10 /新潟駅より徒歩約10分 

生い立ちの中で転機になったのは、20歳のとき。デザインは日常の中にある、ということに気づき、猛勉強をすることから今に繋がるといいます。

原田さんが考える「デザイン」。それはイタリア語である<PROZETTAZIONE>という言葉に表されているそうです。これを英語にすると 

<PROJECT>

 PRO=前に JECT=投げかける


「デザイナーは、社会をしっかり見て統合的に物事を考える/未来に対して提案をする役割である」という考えのもと日頃意識していることとして、「犬の目 雑草の目 地球の目」で物事を捉えるということでした。自分の経験というのは邪魔してくる、新しい発見ができなくなってくるという意識を持って、自分の経験は大したことじゃないと思うようにしている、という言葉は、その後に出てくるたくさんの事例の中で納得させられることになります。

お話を聞きながら感じたのは、人の心がどう動くかを考えているということでした。競技場のデザインをする事例では、利用する側の印象だけでなく、施工に携わる地元の人たちがどのようにこの建物・環境と関わることが良いのか、というところまで考えられてデザインをされていました。

また、徹底的にリサーチをすることもUMA /design farmの特徴の一つです。例えば商品のパッケージをデザインするとき。世の中の同類の商品のパッケージをくまなく調べ、共通することを洗い出し、必要な情報を選んだり、逆に他にはない強みになる部分が何かを考えること。これは冒頭にもあった多元的な視点で物事を見る、という言葉と繋がっているように感じました。

社名である「UMA」は「=未確認動物」つまり、何かと何かの中間にいてそれらをつなぐ、という意味が込められているそうです。整えること、新たな関係性を作ること、など既存のものに捉われることなく、かと言って人の心から離れすぎない原田さんの「デザイン」のヒントを聞けた1日でした。

ゲスト

●原田 祐馬(はらだ ゆうま)  UMA/design farm 代表 / アートディレクター・ デザイナー

1979年大阪生まれ。大阪を拠点に文化や福祉、地域に関わるプロジェクトを中心に、グラフィック、空間、展覧会や企画開発などを通して、理念を可視化し新しい体験をつくりだすことを目指している。「共に考え、共につくる」を大切に、対話と実験を繰り返すデザインを実践。グッドデザイン金賞(2016年度)、第51回日本サインデザイン賞最優秀賞(2017年度)など国内外で受賞多数。京都造形芸術大学空間演出デザイン学科客員教授。愛犬の名前はワカメ。

来年度もひきつづき

今年度の勉強会では計3名のゲストにお越しいただき、デザインについてお聞きしてきました。東京・福井・大阪、それぞれの地域性や経験によってデザイナーのあり方が異なること、プロセスやチームの組み方など、たくさんの学びがありました。また、参加者の中には毎回欠かさず申し込んでくださる方がいたりと、続けることでの繋がりも生まれています。

これにて今年度の活動は最後となりますが、来年度以降も幅広く活動して参りたいと思っております。今後もどうぞよろしくお願いいたします!

NEWGATE事務局

〒951-8063
新潟市中央区古町通3番町556
TEL:025-201-8427
MAIL:newgate2020design@gmail.com
担当:渡辺

助成:
アーツカウンシル新潟
((公財)新潟市芸術文化振興財団)
「文化芸術基盤整備促進支援事業」

『 私とデザイン 』新潟の福祉をおもしろくの会×NEWGATE デザイン公開相談会vol.4 レポート

2020年2月12日、新潟市中央区にて「『 私とデザイン 』新潟の福祉をおもしろくの会×NEWGATE デザイン公開相談会 vol.4」が行われました。

今回はこれまでとは異なり、福祉関連のご相談を募り、6件の事業者さまよりご相談がありました。アドバイスは、福祉のデザインやプロジェクトに関わってきたデザイナーや福祉の現場で活動している4名で行いました。

<ハンドメイドの小物やアクセサリー>

一点もののかわいいぬいぐるみやアクセサリーを手作りし販売しているけれど、もっと知ってもらうにはどうすべきか、というご相談に対して、それぞれの目線からアドバイスがなされました。

・原田(商品パッケージやプロジェクトを多く手がける):「キャラクターものはそれぞれに名前を付けて展開することで世界観を作れる・愛着を持ってもらえる」「パッケージは温かみを感じられる紙製の箱にすると良い」

・岡部(福祉施設常任理事):「手を動かすのが苦手だったりできなかったりするメンバーに名前を付けてもらったり、キャラクターごとの性格や血液型を決めてもらったりすることもできる」

・迫(自ら雑貨店を運営):「モノによって売り場が変わるためそれぞれに合った営業先に行くこと」「値段の記載の仕方やシールの仕様に気を配ること」

・高橋(WEBデザインを多く手がける):「キャラクターが活きるよう、アニメーション・動画を作成するとわかりやすい」

<施設の記念グッズ>

創立記念になにか作ろうという声から、オリジナルのデザインでTシャツを作っているけれど、デザインについてたくさんの意見がありなかなか決められない、というご相談。お話をお聞きする中で、担当者や意思決定のある人が定まらなかったりあやふやであることがわかってきました。どんなチーム・組織でも起こりうることです。そんな時の考え方として

①担当者の思いの詰まったモノを作る(自分でも自信のないものはうまくプレゼンできないし、愛着も半減。。。)

②お菓子など食品にする(身に付けるものはハードルが高い。好みが分かれがち。)

③主力もしくは長年作っている商品の記念品バージョンにする

など、ほんの考え方の一部ですが、ご提案しました。

<オリジナルイラストのドリップコーヒーのパッケージ>

利用者さんのイラストを毎回パッケージにして販売しているという事業者さん。あまり代わり映えがしなくなってきているというご相談です。

実際に販売されているものをお持ちいただき、アドバイザー・会場にいる皆さんと共有しながら考えていきます。見てみると、大胆な色使い、それぞれ個性のあるとても素敵なパッケージに一同びっくり。長くやっているとどうしても客観的に考えられなくなってしまうことはよくあります。なので、周りの方やこうした場で意見を聞いてみるだけでも大きなステップになると私たちは考えています。

またお客さんから要望のあるギフトセットを作りたいということについては、「中身の力強さに対して外側の箱はシンプルの方が良い」「どんな価格のギフトを求められているかヒアリングしてみることも必要」というコメントがありました。

<焼き菓子の販路拡大>

体に優しくて材料にもこだわって作っているお菓子についてのご相談。ちょうど15時、(そろそろお腹が空いてきたアドバイザー陣にとってありがたいことに)試食させていただきながらのアドバイスです。

まず価格。食材のこだわり・手間のかかり具合に対して設定が低い、という意見がありました。もちろん、買う側としては安い方が良い。ですが、製造のうえではたくさんのコストがかかります。さらに、販売するうえでもコストがかかります。就労支援事業の福祉施設では「安定して続く仕組み」を考える必要があります。

次にネーミング。食感をイメージさせるネーミングですが、「実際の食感と若干差がある」というコメント。これまでの相談会でも出てきている「ネーミングとキャッチコピー」はとても重要です。

実際に手にしてみて、丁寧に作られていること、パッケージされていることが伝わる商品ばかりでした。そのことを「正しく」伝えるためにどうしたら良いか。皆さんだけで考えるだけでなく、ぜひ「伝える専門家」であるデザイナーにご相談ください。

また、デザイナーにとっても「デザインがまだまだ役に立てる、活用するべき場所がある」ということをあらためて考える機会となり、双方にとって学びの場となりました。

アドバイザー

●原田 祐馬(はらだ ゆうま)
UMA/design farm 代表 / アートディレクター・ デザイナー
1979年大阪生まれ。大阪を拠点に文化や福祉、地域に関わるプロジェクトを中心に、グラフィック、空間、展覧会や企画開発などを通して、理念を可視化し新しい体験をつくりだすことを目指している。「共に考え、共につくる」を大切に、対話と実験を繰り返すデザインを実践。グッドデザイン金賞(2016年度)、第51回日本サインデザイン賞最優秀賞(2017年度)など国内外で受賞多数。京都造形芸術大学空間演出デザイン学科客員教授。愛犬の名前はワカメ。

●岡部 太郎(おかべ たろう)
一般財団法人たんぽぽの家 常務理事
1979年、群馬県前橋市生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。高校時代から地元NPOが主催するコミュニティアート活動に参加。。たんぽぽの家では障害のある人のアート活動の発信や、地域でのアートプロジェクトのマネジメントをおこなう。近年は障害のある人とともに新しい仕事やはたらき方を提案、実践する「Good Job!プロジェクト」を展開。厚生労働省「障害者芸術文化活動普及支援事業」の近畿ブロック広域支援センター「障害とアートの相談室」も運営し、日々相談支援や啓発活動をおこなっている。

●迫 一成(さこ かずなり)
NEWGATE 代表
福岡県生まれ。hickory03travelersを運営し、イラスト、グラフィックデザイン、商品開発、グッズ制作、印刷物、デザインと社会を結ぶ企画・開催、空間デザイン商店街を楽しむ活動など、幅広く活動中。グッドデザイン賞2015受賞。上古町商店街副理事長。長岡造形大学非常勤講師。

●高橋 徹(たかはし とおる)
ツムジグラフィカ 代表
燕市生まれ。デザインとアートを通し、ものづくりや地域、社会課題に関わる支援業務を行う。グッドデザイン賞2015・2017受賞。

来年度もひきつづき

2018年から始まったNEWGATEの取り組み。たくさんの方にご参加いただき、特に今年度は充実した1年となりました。今年度の相談会はこれにて終了となりますが、ひきつづき来年度以降も様々な活動をしていく予定です。この新潟で、デザインを活用する皆さんやご依頼をいただく私たちデザイナーにとって、より良いものになるよう今後ともよろしくお願いいたします!

主催

新潟の福祉をおもしろくの会 、NEWGATE

助成

アーツカウンシル新潟((公財)新潟市芸術文化振興財団)「文化芸術基盤整備促進支援事業」

NEWGATE事務局

〒951-8063
新潟市中央区古町通3番町556
TEL:025-201-8427
MAIL:newgate2020design@gmail.com
担当:渡辺

『デザインの話を聞こう-産地のデザイナー-』ゲスト:TSUGI代表 新山直広 レポート

開催概要

●日時:2019年12月11日(水)
18:00~19:30(受付17:45開始)
●会場:クロスパルにいがた(生涯学習センター)402
新潟市中央区礎町通2086

大阪・吹田市で生まれ育った新山さん。ニュータウンという土地柄、「地域コミュニティ」の無い環境だったそうです。今では産地のデザイナーとしてまちづくりにも取り組んでいますが、そのきっかけは建物や空間に興味があり、さらに同じ大阪出身の建築家・安藤忠雄の本を読んだことから建築を志すことになります。

福井との出会いは大学4年生のときに参加した学生プロジェクト「河和田アートキャンプ」では140名もの学生を取りまとめ、卒業後に事務局として働くのを機に移住。いま、新山さんが自らを「インタウンデザイナー」(=その地域の資源を活かしてあるべき姿を導く人)と称して活動するに至るのは、鯖江の土地で様々なチャレンジと失敗を繰り返してきたなかで生まれた役割だということがわかりました。

この日の一番のメッセージは、「熱量がすべて」であるということ。熱意をもって取り組む、伝える。それが伝播する。どんな地域でも、どんな仕事でも当てはまる言葉をいただきました。

鯖江・河和田を訪れるとそんな新山さんから伝播した明るさをきっと感じられると思います。お近くにお出かけの際はぜひSAVA!STORETOURISTOREに立ち寄ってみてください。

ゲスト

●新山 直広(にいやま なおひろ)  TSUGI 代表 /デザインディレクター

1985年大阪生まれ。京都精華大学デザイン学科建築分野卒業。2009年福井県鯖江市に移住し、鯖江市役所を経て2015年TSUGI llc.を設立。地域に特化したインタウンデザイナーとして通常のデザインワークだけではなく、眼鏡素材を転用したアクセサリーブランド「Sur」、福井の産品を扱う行商型ショップ「SAVA!STORE」、産業観光イベント「RENEW」の運営など、領域を横断しながら創造的な産地づくりを行っている。2019年4月には福井のものづくりとデザインを体感できる小さな複合施設「TOURISTORE」を鯖江市内にオープン。京都精華大学伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員


次回2020年2月の開催はこちら!

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助成:
アーツカウンシル新潟
((公財)新潟市芸術文化振興財団)
「文化芸術基盤整備促進支援事業」

『 私とデザイン 』NEWGATEデザイン公開相談会vol.3 レポート

2019年11月13日、新潟市中央区にて「『 私とデザイン 』NEWGATEデザイン公開相談会 vol.3」が行われました。

今回は6件の相談がありました。

最初の相談は既に制作しているパンフレットについての相談でした。見た目はとても整理されていて、伝えたい情報も記載されているという良い点を挙げたうえで、「その土地らしさ」や「ターゲットに刺さるもう一歩踏み込んだメッセージ性」があるとより良いというコメントが挙がりました。

一方、写真を前面に出すかどうかという話に。顔出しを避けてイラストを代わりに使うことで雰囲気を伝えられるのでは、という意見と、実際の人の顔が出ていることで安心する、という意見に分かれる場面も。NEWGATEの相談会では結論は出さず、考え方を提案するというところもポイントです。アドバイザーの意見を聞き、どちらが自分たちの方向性に合いそうか、一度持ち帰って自ら考える材料にしていただければと思っています。

こちらはvol.1の会で相談された方の2回目のご相談です。1回目のアドバイスを受け、制作中の冊子についてあらためて意見を出し合う機会となりました。

こちらもvol.2に参加された方の2回目。似顔絵を募ってパッケージに取り入れようという話から、実際に集まった似顔絵を選ぶことに。テイストの異なる絵が集まり、選びきれなかったためとにかく試作を作ってみることになりました。

相談から、実際の動きに発展していく案件も出始めています!

今回は6件の相談がありましたので1件あたり15分程度と短い時間でしたが、他の相談者の方の内容とそれに対するアドバイザーのコメントでも、共通して参考になる部分はたくさんあります。公開相談会というと少し気構えしてしまうかもしれませんが、同じような悩みを持った方の話を聞けたり、「デザインする」ということがどのようなことなのか知っていただける機会になると思います。気になっている方はぜひ相談会にお越しください。

アドバイザー

●迫 一成(さこ かずなり)
NEWGATE 代表
福岡県生まれ。hickory03travelersを運営し、イラスト、グラフィックデザイン、商品開発、グッズ制作、印刷物、デザインと社会を結ぶ企画・開催、空間デザイン商店街を楽しむ活動など、幅広く活動中。グッドデザイン賞2015受賞。上古町商店街副理事長。長岡造形大学非常勤講師。

●高橋 徹(たかはし とおる)
ツムジグラフィカ 代表
燕市生まれ。デザインとアートを通し、ものづくりや地域、社会課題に関わる支援業務を行う。グッドデザイン賞2015・2017受賞。

●山下 洋平(やました ようへい)
株式会社プロフィッツ 代表
新潟市生まれ。グラフィックデザイナー。CI・VI計画を始め、各種広告ツールのアートディレクション、イラストレーション制作、CMプランニングに至るまで幅広く活動中。

次回vol.4開催

次回は【2020年2月12日(水)@ほんぽーと】にて開催予定です。次回は「福祉」をテーマに、商品開発などで悩んでいらっしゃる施設・法人の方々を対象にお話を聞ければと思っています。詳細が決まり次第ご案内します。しばしお待ちください。

NEWGATE事務局

〒951-8063
新潟市中央区古町通3番町556
TEL:025-201-8427
MAIL:newgate2020design@gmail.com
担当:渡辺

助成:
アーツカウンシル新潟
((公財)新潟市芸術文化振興財団)
「文化芸術基盤整備促進支援事業」

『デザインの話を聞こう』講師:古屋貴広 レポート

開催概要

●日時:2019年9月19日(木)
18:00~19:30(受付17:45開始)
●会場:クロスパルにいがた(生涯学習センター)402
新潟市中央区礎町通2086

今回はアートディレクターの古屋貴広さんをお迎えして、デザイナーとしてこれまでどのように取り組まれてきたか、会社経営について、日々考えていること、などざっくばらんにお聞きしました。

good design companyに入りたての新人の頃、先輩の溜まったごみを捨てたり、書棚を高さ順にひたすら整理する日々。そんな時も自分の役割やできること、それをやることで得られることを意識しながらの毎日で、それほど苦ではなかったとのこと。

デザイナーとして独立したときのお話に出てきた、
「どんな仕事でも依頼が来た時点でとにかくテンションが上がる!」
という言葉から、「今の自分」を最大限にフル活用することとそれをとにかく楽しんでいる様子をビシビシと感じました。

たくさんの新しい経験、人生を変えるような数々の出会いも、「たまたまです」と笑顔で話す古屋さんに、その明るさとフットワークの軽さがたくさんのものを惹きつけているような気がしました。

また、司会の迫とともに長岡造形大学の講師も務めることから、大学での学生の様子や現状についての話など、夜遅くまで続いた懇親会も含めてたくさんのお話を聞かせていただきました。

「デザインのトーク」というと、だいたいはデザインのテクニック、ヒントとしていること、事例についての説明、などを思い浮かべることが多いと思います。ですが、私たちは少し違った角度でデザインについてみなさんと考えてみたいと活動していて、まさに今回はそんな会になった気がしています。


次回開催も準備中です。また決まりましたらお知らせしますので、ぜひご参加ください。

講師

●古屋 貴広(ふるや たかひろ)  株式会社ワークバンド 代表

宮城県出身。アートディレクター。長岡造形大学非常勤講師。
2004年多摩美術大学デザイン学科卒業。大学卒業後 good design company 入社。2009年に退社後、フリーランスのデザイナーを経て、株式会社ワークバンドを設立。キャンペーン広告展開や地方自治体の複合施設/展覧会のグラフィック、企業のCI、店舗・内装、SPツール、商品パッケージ、ウェブサイト、エディトリアルなど、幅広く手がける。

皆さんの感想

  • 率直にワクワクしました。自分で仕事を切り開いていくお話。あと身の回りのあらゆるもの・ことからインプットすること。どちらも実践してみようと思いました。
  • とても楽しく参加して良かったです!また次回も参加したいです!
  • 古屋高広さんの話しを聞いて 日常的に見たものに疑問を持ち 常に理由を考えて感覚を鍛えていく という事は自分もやってみようと思いました。 仕事を待つのではなく、自分から仕掛けていくやり方も、どう鍛えるかの話しも質問コーナーでのテコンドーの話しにも繋がっているのが すごく面白かったです。
  • デザイナーとしてというよりは、経営や生き方、人とのつながりの大事さの話を聞けたからとても有意義な時間で、刺激になった。共感できるところが多く、聞いていて楽しかった。

(一部抜粋)

迫 一成(さこ かずなり)
NEWGATE 代表
福岡県生まれ。hickory03travelersを運営し、イラスト、グラフィックデザイン、商品開発、グッズ制作、印刷物、デザインと社会を結ぶ企画・開催、空間デザイン商店街を楽しむ活動など、幅広く活動中。グッドデザイン賞2015受賞。上古町商店街副理事長。長岡造形大学非常勤講師。

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助成:
アーツカウンシル新潟
((公財)新潟市芸術文化振興財団)
「文化芸術基盤整備促進支援事業」